窓ガラスを複層ガラスにしたり、サッシを断熱性能の高いものに取り替えたり、2重窓を取り付けたりする窓まわりのリフォームや、耐震等級をあげるリフォームを行う場合、どのような工事ができて、どれくらいの費用がかかるのか検討が付きにくいものです。
ここではそれらのリフォームに関する費用相場や補助金制度について知っておきましょう。
- 【目次】断熱や耐震リフォームの費用相場と補助金
断熱や耐震リフォームについて
断熱リフォームと一言でいっても、壁や床下に断熱材を入れる工事や窓を高性能のサッシに取り替えるリフォームなど様々なパターンがあります。
また耐震リフォームも自治体に登録されている専門家による耐震診断をきっちり行い、その診断結果に基づき耐震リフォームを行う場合と、建物全体の耐震等級をあげるのではなく、主な居室の耐震性能だけをあげるリフォームを行う場合があります。
断熱リフォームや耐震リフォームの種類や工事内容を理解し、自分の家にあったリフォームを選択することが大切です。
断熱リフォームの効果と費用相場
断熱リフォームには窓周りの工事と断熱材を使用した工事があります。
それぞれの特徴や効果はどのようなものなのでしょうか。
窓ガラスの断熱リフォーム
サッシなどの枠はそのままでガラスのみをリフォームします。
既存の単板ガラスを取り外し、アルゴンガスを封入した高断熱、高遮熱の複層ガラスやLow-Eと呼ばれるペアガラスに交換することを指します。
効果としてガラス部分は断熱、遮熱機能があがりますが、アルミサッシの場合、サッシ部分の結露は防ぐことができません。
サッシはそのまま使用しますので、ガラスの費用のみですから、比較的安価で工事をすることができます。
ガラスの大きさにもよりますが、1窓5,000円~10,000円で取り替えることができるでしょう。
サッシの断熱リフォーム
サッシごと高性能窓にリフォームする場合、既存の窓を取り外して新しい窓を取り付けることになりますが、その場合外壁や窓周りの内壁や窓枠の補修がともなってきますので、少し大掛かりになります。
ですが、メーカーによっては既存のサッシの上に新しいサッシ枠を取り付けるカバー工法もありますので、若干の窓のサイズの縮小にはなりますが、工事は手軽に行えます。
効果はサッシ部分をアルミではなく樹脂製のものを選べば、結露はほとんどしなくなり、断熱・遮熱性能は格段にあがります。
費用の目安は窓の大きさにもよりますが1窓、5万円~10万円ほどになるでしょう。
内窓、2重窓にリフォーム
既存のサッシはそのままで、内側にもう一つ窓をつけるリフォームです。
枠が二重になる分、部屋内に窓枠が出っ張ってきますが、既存の窓を触らない分工事は手軽に行えます。
外側の窓が結露をしても内窓が高性能のため、部屋内の結露を防ぐ効果があります。
内窓設置の費用の目安は1窓5万円~10万円くらいでしょう。
断熱材アクアフォームとは
一般的に断熱材を使ったリフォームはグラスウールと呼ばれる繊維系の断熱材を使用することが多いのですが、近年注目されているのは発砲系のアクアフォームという断熱材です。
アクアフォームは水と合わせて膨らませ、壁や屋根に直接吹き付ける泡状の断熱材で、冷えて固まると硬質ウレタンになります。
繊維系のグラスウールは柱や間柱にタッカーと呼ばれるホッチキスのようなもので止めていきますが、性質上コンセント周りや換気扇まわりはどうしても隙間ができてしまいます。
アクアフォームは吹き付けるタイプですので、隙間なく施工できフロン未使用のため環境にも優しく防音効果も高いと言われています。
グラスウールは床材の下に敷き詰めたり、天井の上に敷き詰めたりしますが、アクアフォームは基礎や屋根の裏側に直接ふきつけるため断熱性はとても高くなります。しかしその反面、火に弱かったり、白アリに食べられたりする可能性があったり、グラスウールより高価なためデメリットがあることも知っておかなければなりません。
耐震リフォームの効果と費用相場
阪神淡路大震災や東日本大震災以降、建物の耐震を気にする人は増えています。昭和56年以降に建てられた家は新耐震基準で建築されていますので、耐震リフォームを行わなくてもよいとされていますが、昨今の熊本大震災では度重なる余震の末、本震が起こってしまいましたので、新耐震基準で建てられていても倒壊している家が多かったようです。
縦揺れや横揺れ、震源の深さなどで建物への揺れの伝わり方や負担は変わってきますので耐震補強をしたから絶対大丈夫とは言えませんが、少しでも倒壊の可能性を減らすためには、自分の家がどのような状態で、地震に耐えうる建物かどうか知ることが大切です。
そうした災害がたびたび起こる今、柱や梁の接合部分の補強や壁面での補強など耐震リフォームへの注目は高まっています。
耐震、免震、制震の違い
建物への揺れや負担を軽減するには耐震、免震、制震の3つがあります。
耐震とは建物が揺れに耐えられるように柱と柱の間に筋交いを入れたり、接合部分をボルトや金物で強固に固定したりし、柱や壁を補強する方法です。
免震は建物と地面の間、または基礎部分に免新装置と呼ばれる免震ゴムを設置するため、揺れが起こったときに地面から伝わる振動を受け流す効果があります。
地震による地盤からの振動を上部構造に伝えにくくし、地震の揺れから建物を守る効果があります。
制震は地震による建物の揺れを制御するような特性があります。ダンパーという制震機構を設置し、地震が起こった時の揺れを積極的に制御します。
耐震リフォームでは免震、制震とも費用が高額になりますので、一般的には柱や梁を耐震金物で補強をしたり、壁面を補強する耐震精度を上げる工事を採用するケースが多いようです。
補助金や減税制度について
耐震リフォーム工事は自治体での補助金制度があったり、減税措置が適応したりします。
耐震診断の費用
耐震診断は一般的な建築業者でも行っています。通常は20万円~50万円の診断費用がかかります。しかし、自治体によっては耐震診断を期間限定で無料で行っていたり、補助金の対象項目にあるケースもあります。まずは自治体の窓口で相談をし、費用がかからない耐震診断がないか確認すると良いでしょう。
耐震リフォームの補助金
耐震リフォーム費用は十数万円~数百万円と工事の規模によって大幅にかわります。
補助金制度は自治体によって異なりますが、20万円~上限300万円の補助金を交付している自治体もあります。
しかし、補助金を交付してもらうには耐震診断で出た結果に沿って、建物の耐震等級をあげなければいけないなどの条件があり、実際にかかる費用は数百万円になる場合もあります。
なお、以下のサイトで市区町村別の住宅リフォーム支援制度確認できます。内容が変更になる場合もあるので、利用前に各自治体に確認してください。
※参考:地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
http://www.j-reform.com/reform-support/
減税制度
耐震リフォームで現在の耐震基準に適合させることが出来た場合 減税制度が適応されます。住宅借入金等特別控除、既存住宅を耐震改修した場合の税額控除、固定資産税の減額の減税措置があります。
住宅借入金等特別控除は返済期間が10年以上の住宅ローンを利用している建物を耐震リフォームした場合受けることができる控除です。
既存住宅を耐震改修した場合の税額控除は、耐震改修の標準的な費用の額の10%を1年限り所得税から控除されます。
固定資産税の減税は耐震基準を満たす50万円以上の耐震リフォーム工事を行った場合、翌年度以降の一定期間の固定資産税の2分の1相当の減額を受けることができる制度です。
いずれの減税制度も新耐震基準に適合する耐震リフォーム工事を行わなければなりません。そして、それぞれの減税制度には要件がありますので、まずは各自治体で確認をしてみましょう。
建物の断熱性能や耐震性能をあげるためのリフォーム工事は補助金や減税制度が設けられています。建物の省エネ性が上がれば暮らしは快適になりますし、耐震リフォーム工事を行えば、いざというとき命を守る備えにもなります。お得に適切なリフォームが行えるよう信頼できる業者に工事を頼むことも大切ですね。