水回りのリフォームで代表的なのは浴室とキッチンではありますが、毎日使う洗面所、洗面台のリフォームを行うことで、住まいはより暮らしやすいものになります。
洗面所というのは、住まいの中でも限られたスペースであり、入浴のための脱衣室を兼用している場合や、洗濯機を置いて家事室の役割を担っている重要な部屋でもあります。
配管のメンテナンスや、床への浸水が無いかを確認するためにも、新築から15~20年を目安に、洗面台リフォームを考えてもいいかもしれません。
ここでは、洗面台や洗面所のリフォームにかかる費用や、リフォームの注意点、洗面ボウルの選び方等の洗面所リフォームの基本的なことを解説します。洗面所や、洗面台のリフォームを検討している方の参考になればと思います。
洗面所、洗面台のリフォーム費用相場
洗面所のリフォームの相場は、洗面所全体のリフォームの場合30~50万円で、洗面台のみを取替える場合は10~30万円が相場となっています。
費用を大きく左右するのは、やはり洗面台自体の価格です。サイズが大きい、オプションをつける、機器自体がハイグレードなものは費用がかかりますので、予算に合わせた機器選びからスタートしましょう。
一般的な洗面所リフォームの内容を、予算別に確認してみましょう。
~10万円のリフォーム内容
洗面台を取替えるのみの工事となります。システム洗面台の場合、最低限の機能を兼ね備えたコンパクトタイプのものになります。間口は75cm以下で、色柄は選べません。
鏡は一面鏡で、収納は開き扉のものがこの予算の場合の仕様です。特にこだわりがなく、洗面台のみを綺麗にしたい方や、1~2人世帯には充分な収納量と機能を備えている洗面台と言えます。
15~25万円のリフォーム内容
洗面台取替えのみの場合、この費用区分になると洗面化粧台のカラーや、高さ、間口、鏡の仕様もある程度選べるようになります。洗面台にこだわりがある場合は、この区分で考えるといいですね。
または、色柄の選べないシンプルなタイプの洗面台に取替え、1坪程度の洗面所の壁紙の張替えができる費用区分になります。洗面台が綺麗になると、内装材の劣化も気になってくるものです。洗面台を取り替える場合は出来れば内装のリフォームも検討しましょう。
25~50万円リフォーム内容
洗面台取替えのみを行う場合、間口の広いもの、収納機能が充分なもの、ある程度高価な仕様の洗面台を選べるようになります。
または、色柄が選べないシンプルなタイプの洗面台に取替え、1坪程度の洗面所の壁紙の張替え、床材の取替え(クッションフロアー仕上げ)、洗濯パンと洗濯水栓の取替えができる費用区分になります。
3人以上のご家族でお住まいの場合や、現在の洗面所の収納力に不満を感じている方はこの費用区分で考えると、洗面台の取替えのみでも快適さを感じられるリフォームになります。
50万円以上のリフォーム内容
洗面台取替えのみを行う場合は、グレードの高いものや、オーダーメイドの洗面台を選べるようになります。洗面台の色、間口、高さ、鏡の仕様を選びつつ、壁紙の張替え、床材の取替え、洗濯パンと洗濯水栓の取替え、コンセントの増設等ができる費用区分になります。
この他にも、現在と配置を変える、介護に配慮したリフォームを行う、物干し金物を取り付ける、窓を新設する等…リフォームすることを挙げればきりがありませんが、現在の洗面所を一新して、ある程度こだわりを持ったリフォームをしたい場合、50万円以上が相場と考えていいでしょう。
洗面所、洗面台をリフォームする際のポイント
リフォームをする際に必ず確認しておきたいポイントを確認してみましょう。
洗面台、洗面ボウルの寸法(サイズ)の測り方
洗面台のリフォームを成功させる鍵は、現在の洗面台の寸法を把握することです。業者に依頼する場合は業者が必ず測ってくれるものですが、必ず自身でも現在の寸法を把握しておきたいですね。
洗面台を納めるのはもちろんですが、リフォームして洗面台を大きくしたいのか、小さくしたいのかを明確にし、無駄の無い計画するための重要なポイントになります。
サイズを測る部分
洗面台を計測する際に、必ず寸法を知っておきたい部分を確認してみましょう。
洗面ボウルの幅(間口)
洗面ボウルの端から端までの幅を測ります。この幅を把握することで、新しい洗面台のサイズが絞られてきます。
あふれ面までの高さ
床から、洗面ボウルの縁(あふれ面)までの高さを測ります。この高さは、顔や頭を洗う際や、揉み洗いをする際等に作業のやりやすさ、腰にかかる負担を左右します。身長÷2を目安に、ショ-ルームで実際に動作のデモンストレーションを行い、使いやすい高さを追求して洗面台を選んでみましょう。
全体の高さ
洗面所全体の高さを計測します。この高さを把握しておくと、具体的な洗面台の大きさがイメージしやすくなります。
奥行き
ボウル部分と、収納の奥行きを計測します。リフォームで洗面台の奥行きが変わると、通路部分にも影響が出ますので、なるべく今の洗面台より大きくならないようにしましょう。
洗面台の種類と選び方
採寸ができたところで、いよいよ洗面台の機器を選ぶ段階に移るのですが、洗面台にも多くの種類が存在しているので、何を選んだらいいのかわからなくなってしまうものです。
まずは、日本の住宅で主流になっている水回りメーカーが販売している洗面台の種類から確認してみましょう。水回りメーカーから販売されている洗面台には大きく分けて2つのタイプがあります。
洗面化粧台
収納キャビネット・ボウル・鏡・照明・コンセント等の機能が一体になったものです。水回りメーカーが販売しています。機能性に重点を置いているため、とても使いやすいですが、デザインには限りがあります。
小さいお子さんがいるご家庭や、お年寄りがいるご家庭等、全ての人に使いやすく、汚れにも強いのがこの洗面化粧台なので、家族の状態に合わせて選んでみるといいですね。
カウンタータイプ
こちらも水回りメーカーが販売するシリーズの商品ですが、洗面ボウル・カウンター・収納ユニット・水栓金具をシステムキッチンのような感覚で幅広いバリエーションから選べます。機能性だけでなく、デザイン性にも優れています。
一般的に、カウンタータイプは洗面化粧台よりも価格設定が高くなっていますので、予算とデザインへのこだわりに応じて商品を検討したいですね。
洗面ボウルの種類と選び方
洗面台のリフォームには、ボウルのみを購入し、取り付ける方法もあります。好みのカウンターや、ボウルの形状、材質、水栓の形状を選べるので、オーダーメイドのような洗面台にすることができます。
洗面化粧台を取り付けるよりも、空間にデザイン性と個性が生まれますが、収納力には劣りますので、ミラー収納や壁面収納を取り付ける等して収納力をカバーできるといいですね。
洗面ボウルのタイプ
洗面ボウルにも様々な種類があります。洗面ボウルの形状ごとの特徴を確認してみましょう。
埋め込み型
カウンターに埋め込んで使用するタイプです。カウンターの表面に出るのは水栓金具のみなので、スッキリした印象になります。カウンターが広く使えるメリットもあります。
半埋め込み型
カウンターに半分だけ埋め込まれたタイプです。カウンター下に半分ボウルが見えてしまうので、見えないようにした方が格好はいいです。埋め込み型に比べ、カウンター下の収納スペースを確保できます。
置き型
カウンターの上に置くタイプです。水がカウンターに跳ねにくいので、カウンターが汚れにくいメリットがあります。また、カウンター下の収納スペースも広く確保できます。
壁付け型
壁に直接取り付けるタイプのボウルです。カウンターを取り付けたくない場合や、空間が限られている部分にスッキリと納められます。給排水を壁から取るようにすると、さらにスッキリとした印象になります。
洗面ボウルの素材
洗面ボウルには、大きく分けて3つの素材が主流となっています。陶器、ホーロー、樹脂の特徴をまとめました。
陶器製ボウル
陶器製ボウルの最大のメリットは、高級感があるというところです。傷がつきにくく、割れない限り半永久的に美しさが続くことも魅力的ですね。選択肢も豊富です。デメリットは、衝撃に弱く、割れやすいこと、重量があることです。華奢なデザインは実現しにくい傾向があります。
ホーロー製ボウル
ホーローとは、鋳物の表面にガラス質を焼き付けたものを言います。キズに強く、耐火性、耐酸性、耐アルカリ性を備えていることも特徴です。ただし、衝撃には弱く、表面が欠けやすいので注意が必要です。
樹脂製ボウル
樹脂製ボウルは、陶器やホーローに比べて衝撃に強く、割れることがありません。また、成形が容易なため、カウンターと継ぎ目のないボウルを作ることもできます。
どうしても硬度に劣るため、キズがつきやすいので、お手入れには注意が必要です。陶器やホーローのような光沢感がないので、高級感にも劣ります。家族の年齢や、求める機能性に応じて検討したいですね。
リフォームする際の注意点
洗面所や、洗面台のリフォームで注意しておきたいつのポイントをお伝えします。完成後に後悔しないためにも、確認したいチェック項目です。
収納したいものを決めておく
洗面所は、脱衣室と兼用している場合バスタオルから化粧品、洗濯用品まであらゆる物を置いておきたい空間になります。パジャマや下着も置けると便利かもしれません。
洗面所が散らかっていたり、収納力に不満がある場合は、リフォームを機に洗面所の収納環境も改善できるといいですね。使い勝手の良い洗面所にするためには、洗面所に収納したいものを予めリストアップしておくといいですね。
高さの検討も忘れずに
リフォームの打合せは、どうしても二次元で行われがちです。現実は三次元なので、高さの検討も忘れないようにしましょう。現在の洗面台の高さを確認し、不便は無いか検討することや、ショールームで使い勝手の確認をすることも重要です。
顔を洗う際に肘がはみ出ないか、顔を洗う際腰に負担を感じないか等、高さの検討は毎日の動作のしやすさに繋がります。
コンセントの位置も確認しておく
洗面所では、意外と電気を使います。リフォームの際には、コンセントの計画も改善できるよう、日常の動作から「あったらいいな」と思うコンセントの位置をイメージしておきましょう。
ヒートショック対策も配慮する
洗面所が脱衣室も兼ねている場合、ヒートショック対策にも配慮しましょう。ヒートショックとは、温度差によって心臓に負担がかかり意識を失う等の症状で、お年寄りに多く起こります。壁付けの暖房器や、窓からの冷気対策にも気を配りたいですね。
耐水性、湿気に配慮する
水を使う場所ですので、内装材は耐水性に配慮して選びましょう。耐水性の無いものを使うと、内装の美観や、構造材にも影響を及ぼします。また、湿気のたまりやすい場所でもあるので、換気扇の新設や吸湿性のある内装材を検討する等して空気にも気を使えるといいですね。
これらの注意点にも気を配ることで、より満足度が高く、長く快適に使うことができる洗面所のリフォームになりますよ。
マンションでリフォームする場合
マンションで洗面所のリフォームをする場合、特別難しいことはありませんが、戸建て住宅よりも気をつける部分が多くなります。マンションでリフォームする場合は、以下の点を確認しておきましょう。
寸法を必ず測る
戸建てのリフォームにおいても言えることですが、特にマンションは洗面所のスペースが限られている場合が多いので納められる洗面台の寸法がシビアになります。
限られたスペースを有効に使うために、事前の採寸はしっかりと行いたいですね。また、念のため搬入経路の寸法も測っておくと安心です。
マンション規約の確認
マンションでリフォームする場合は、マンションの規約を必ず確認する必要があります。規約に違反することのないように、リフォームの際に使える材料や仕様の確認を行った上で工事を依頼しましょう。
ご近所への挨拶
マンションの場合、騒音がどうしても伝わりやすくなってしまいます。工期、工事時間、工事を行う曜日、業者の名前、代表者の連絡先を必ず近隣に伝え、万が一問題があった場合の対応も明確にしておきます。共通掲示板にお知らせを張り出す等の必要があれば、対応をしましょう。
業者の経験
マンションのリフォームを多く手がけている業者の方が養生のしかたや、近隣への挨拶の方法、配置替えをする場合の配管の切り回し方等マンションのリフォームに関する気をつけることを心得ています。
施主として気をつけることも教えてもらえるはずです。業者に依頼する場合は、過去の実績を確認しておくと安心ですよ。
自分でDIYする場合
最近は、自分で洗面所のリフォームをする方も増えています。洗面所は比較的狭いスペースであることが多いので、リフォームをDIYすることも充分できます。DIYするメリットは、費用が抑えられますし、オリジナリティが出せること、自分たちで時間をかけてリフォームした洗面所にはとても愛着がわくものです。
ただし、洗面台の場所を移動したり、洗面化粧台を交換する場合、配管の移動が必要になります。古い洗面台と新しいものの給排水管の位置が同じである可能性は低いですし、自身で配管を繋ぐ行為は水漏れの原因にもなります。
照明の取替えや、スイッチの取替え、コンセントの増設等の電気工事もネットで得た知識出来ないことはありませんが、免許が必要で危険も伴いますので、電気屋さんに依頼するようにしましょう。
この様に、不安が生じる作業のみを部分的に業者に依頼してDIYをすることがおすすめです。
リフォーム後のお手入れに関して
リフォームを行い、きれいで快適な状態を長く保つためには、住まい手による日常のお手入れが欠かせません。今までと違った素材を使ってリフォームを行った場合、まずは商品に添付された説明書を読んで、取り扱い方法を確認しておきましょう。
業者にリフォームを依頼した場合は、完成後に引渡しを受ける際にお手入れ方法や取り扱いの注意を聞いておくこともお忘れなく。洗面台のお手入れの一般的な方法をお伝えします。
日常のお手入れ
- 洗面ボウルの水洗い&からぶき
- ミラーをからぶきして表面の汚れを落とす
- キャビネットの扉表面をふく
- 水栓本体とまわりのからぶき
週1回は行いたいお手入れ
- ヘアキャッチャー、排水口のゴミ取り・掃除・
- オーバーフローをブラシで掃除
- ミラー、ボウル、水栓を5倍程度希薄した中性洗剤や、専用洗剤を使って掃除する
月1回は行いたいお手入れ
- 吐水口の掃除
- シャワーホースの点検、掃除
- キャビネット内部や、棚の掃除
3ヶ月に1回は行いたいお手入れ
- 排水パイプ用の強力洗剤で掃除
- 照明カバーがはずれる場合、はずして内部を掃除
日常的な掃除とお手入れに加えて、5年ごとにシーリング材と水栓の点検、必要に応じてパッキンやシーリング材の取替え、排水管の点検を行います。
住まいも、設備機器も、住む人の手入れが行き届いている場合とそうでない場合で、寿命に大きな差がでてくるものですので、日常のお手入れから点検まで積極的に行いたいものです。
家族の現在の状況や、将来の予想、洗面所に対する要望を強くイメージした上で、それぞれの家庭に合った洗面所のリフォームができるといいですね。