一定の条件を満たすリフォームを行った場合、確定申告をすれば税金の控除を受けられます。
多くの費用をかけてリフォームを行うと、少なからず家計に負担を与えるものです。戻ってくるお金があるのなら、損の無いように確実に手元に戻せるように手続きをしましょう。
この記事では、リフォームローン控除(減税)とは何かということから、控除額の目安、確定申告の手続きの流れや注意点、申告を忘れてしまった場合どうしたらいいのかということまで解説しています。ローンを利用してリフォームを行った方や、これからリフォームをする方は確認してみてください。
リフォームローン控除(減税)とは
リフォーム控除またはリフォームローン減税とは、耐震や省エネ、バリアフリー化、三世代同居対応、長期優良住宅化の一定の条件を満たす計画でリフォームを行った場合に、所得税や固定資産税の控除(減税)が受けられるというものです。
対象となる減税の種類や、受けるための条件、控除額について確認してみましょう。
受けるための条件
リフォームローンの控除を受けるための条件を、耐震、バリアフリー、省エネ、三世代同居対応、長期優良住宅化の工事別に確認すると、以下のようになっています。
耐震改修工事
- 新耐震基準に適合すること
- 施主自らが居住する住宅であること
- 改修前が旧耐震基準で建てられた住宅であること
バリアフリー化リフォーム
次のいずれかに該当するバリアフリー化リフォームであることが条件です。
- 通路の拡幅
- 階段の勾配緩和
- 床材取替え、改良
- 浴室改良
- トイレ改良
- 手すり設置
- 段差解消
- 出入口の戸改良
この他にも、次のいずれかが所有・居住する住宅であることも条件となっています。
- 50歳以上
- 要介護または要支援認定を受けた者
- 障がい者
- 65歳以上の親族または②・③の親族と同居している者
上記の所有・居住条件に当てはまり、かつ下記の条件も満たす必要があります。
- 工事完了引渡し後、6カ月以内に入居すること
- 工事後の床面積が50㎡以上であること
省エネリフォーム
- すべての居室の窓の断熱工事を必ず行うこと
任意として併せて行う対象工事
- 床・壁・天井の断熱
- 太陽光発電設置
- 太陽熱利用
- 空調機の高効率化
- 給湯器の高効率化
- 施主自らが居住する住宅であること
- 工事完了引渡し後、6カ月以内に入居すること
- 工事後の床面積が50㎡以上であること
三世代同居対応リフォーム
三世代が一緒に暮らせるように考慮して、以下のいずれかの工事を行うことが条件となります。
- 調理室の増設
- 浴室の増設
- トイレの増設
- 玄関の増設
- 施主自らが居住する住宅であること
- 工事完了引渡し後6カ月以内に入居すること
- 工事後の床面積が50㎡以上であること
長期優良住宅化リフォーム
- 長期優良住宅の基準を満たすための工事をおこなうこと
- 省エネリフォームも併せて行うこと
- 施主自らが居住する住宅であること
- 工事完了引渡し後6カ月以内に入居すること
- 工事後の床面積が50㎡以上であること
控除額はどれくらいなのか?
リフォームを行うと受けられる控除の種類と、その控除額について確認してみましょう。
投資型減税
リフォームの支払い方法が現金の場合でも、ローンの場合でも一定の条件を満たすリフォームを行った場合に受けられる控除です。
控除額
リフォームを行った年の所得税額から、工事費の10%控除されます。
最大控除金額は、バリアフリー化で20万円。耐震・省エネ・三世代同居・長期優良化をすることで25万円の控除が受けられます。
複数の項目の基準を満たすリフォームを行った場合は、控除を併用して受けられます。例えば、バリアフリーと省エネの両方を行ったおこなった場合、最大控除金額は20万円+25万円で45万円となります。
5年以上のローン減税
5年以上のローンを組み、リフォームを行った場合に受けられる控除です。
控除額
対象となるリフォームのために組んだローン残高の2%と、その他のリフォームのために組んだローン残高の1%が、工事を行ってから5年間控除されます。
最大控除金額は、バリアフリー・省エネ・三世代同居・長期優良化で、5年間で62.5万円になります。複数の項目の基準を満たすリフォームを行った場合は、控除を併用して受けられます。
10年以上の住宅ローン減税
10年以上の住宅ローンを組み、住宅を購入し、リフォームを行った場合に受けられる控除です。
控除額
所得税額から住宅ローンの残高の1%がリフォームを行ってから10年間控除されます。
最大控除金額は、バリアフリー・耐震・省エネ・三世代同居・長期優良化・その他の増改築等のリフォームの場合、10年間で400万円です。
固定資産税
リフォームの支払い方法が現金の場合でも、ローンの場合でも一定の条件を満たすリフォームを行った場合に受けられる固定資産税の控除です。対象となる工事と、控除額は以下のようになっています。
- 耐震:1/2減額
- バリアフリー:1/3減額
- 省エネ:1/3減額
- 長期優良化:2/3減額
固定資産税の減額控除は、投資型減税、5年以上のローン減税、10年以上の住宅ローン減税と併用することができます。
贈与税の非課税
通常、年間の贈与額が110万円を超えると贈与税がかかりますが、親や祖父母等の直系尊属からリフォーム資金の贈与を受けて工事を行う場合、贈与税が非課税となる特例です。
質の高い住宅の場合(断熱性・耐震性・バリアフリー性に優れ、住宅性能証明を受けた住宅)は、以下のようになります。
平成28年1月~29年9月までの契約 | 1,200万円まで非課税 |
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平成29年10月~30年9月までの契約 | 1,000万円まで非課税 |
平成30年10月~31年6月までの契約 | 800万円まで非課税 |
一般の住宅の場合は以下のようになります。
平成28年1月~29年9月までの契約 | 700万円まで非課税 |
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平成29年10月~30年9月までの契約 | 500万円まで非課税 |
平成30年10月~31年6月までの契約 | 300万円まで非課税 |
確定申告の手続き
前途で解説した控除を受けるためには、確定申告の手続きが必要になります。必要書類や手続きの流れ、申告の注意点などについて確認してみましょう。
必要書類と手続きの流れ
リフォームローン控除を受けるための確定申告は、会社員の場合はリフォーム工事が終了し、入居した年の翌年1月から3月15日までに行います。
自営業の方や、毎年確定申告を行っている方は2月16日~3月15日の毎年の一般申告と合わせて行って問題ありません。手続きは以下のような手順で進めます。
1. 必要な書類をそろえる
まずは必要な書類をそろえます。以下が必要な書類です。
確定申告書(A書式)
大前提として確定申告書が必要です。各自治体の役所か、インターネットでもダウンロードすることができます。
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
国税庁のサイトか、最寄りの税務署で入手できます
源泉徴収票
サラリーマンなどの給与所得者の場合は、勤務先から家を買った年、若しくはリフォーム工事を行った年の源泉徴収票を用意します
リフォームを行った住所地の住民票の写し
市町村の役所にて、住宅ローン控除を受ける人の購入した住居若しくはリフォーム工事を行った住所地の住民票の写しを入手します
年末残高証明書
住宅ローンを利用した場合、金融機関から年末に郵送されます。借り入れたローンの全てにおいて必要です。
不動産契約書と工事請負契約書のコピー
不動産を購入した場合はその際の契約書、リフォームした場合は工事請負の契約書がそれぞれ必要になります。
建物・土地の登記事項証明書
不動産を購入した場合は、管轄の法務局で入手します。
その他
長期優良住宅や、低炭素住宅、耐震基準を満たす証明が必要な場合は、証明する書類をコピーして添付します。不動産会社や建設会社に問い合わせて入手しましょう。
2. 必要書類に記入する
用意した書類を確認しながら、特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書を作成します。その後、確定申告書を作成します。
これらの作成は手書きはもちろんですが、インターネット上でも行うことができます。
3. 提出する
必要書類の入れ忘れや記入漏れが無いかを確認した上で封筒に書類を入れ、管轄の税務署へ郵送か持ち込みにて提出します。
4. 訂正対応
書類が確認され、記入漏れや訂正の必要がある場合は税務署から連絡が来ます。随時指定された通りに対応します。
5. 還付金の振込み
手続きからおよそ1ヶ月で指定の口座に還付金が振り込まれます。
確定申告する際の注意点
確定申告をする際の一番の注意点は、その期限です。期限を守るための準備で注意したいことと、万が一申告を忘れてしまった場合の対応について確認しましょう。
工事前から準備を行う
初めて確定申告を行う場合は特に難しく、面倒に感じるかもしれませんが、必要書類がしっかりと揃っていれば受け付けてもらえます。期限の直前で忙しくならないように、前もって必要書類を集めておくことを心がけましょう。
特に増改築等工事証明書や、住宅の機能性を証明する適合証明書、評価証明書は、工事前から揃えておく必要があります。リフォームを行う前に、工事業者にはリフォームローン控除を受ける旨を伝えて、必要書類の用意に協力してもらいましょう。
自営業の方など、毎年確定申告を行っている方は特に住宅ローン控除の申告漏れに注意が必要です。万が一申告漏れに気がついた場合は、提出した確定申告を更生する必要があります。
更正には提出した日から5年間という期限が設定されています。5年を過ぎると一切の控除が受けられませんので、充分注意して確定申告を行いましょう。
申告を忘れた場合はどうすればいいのか?
リフォームローン控除を後になって知ったり、忙しくて確定申告を忘れてしまうことは充分に考えられることです。
もしも確定申告忘れに気がついたのが、購入や工事から5年以内であれば遡って申告をすることができますので、まずは慌てずに管轄の税務署にまだ間に合うかということを問い合わせることからはじめましょう。
確定申告は工事を行った翌年のみに行いますが、その後も継続して控除を受けることになるため、サラリーマンの場合、2年目以降は年末調整でリフォームローンの書類提出をすることになります。
万が一年末調整でこの書類提出を忘れてしまった場合は、再度年末調整を依頼するか、確定申告をすることで対応することができます。
まとめ
リフォームローン控除を受けるためには、リフォームの計画段階でその内容を把握し、施工会社にも理解を促し、しっかりと基準を満たす形でリフォームをする必要がありますので、なるべく早い段階から知識を付け、準備を行う必要があります。
確定申告のための書類はとても多く、特に引越し等が必要になる場合は書類を紛失してしまうことも考えられます。書類は再発行が可能ですので、関係機関に問い合わせを行い慌てずに対応して行きましょう。
手続きは面倒に感じる部分も多いですが、リフォーム後の生活は何かとお金がかかるものです。戻る金額も大きいので、損がないようにしましょう。また、確定申告を忘れてしまった場合でも、期限内であれば問題無く控除を受けることができますので、諦めずに手続きをしましょう。