最近、DIYという言葉は世間でもお馴染みとなりました。業者に依頼するとかなり費用がかかる住まいのリフォームも、自分でできるとなると楽しみにもなりますよね。完成したときの達成感や満足感もあり、男女問わずDIYにチャレンジする人が増えてきています。
一般的にはちょっとした棚を作ったいとうことがありますが、では、外壁塗装はDIYできるのでしょうか。外壁塗装は、業者に頼むと結構お金がかかるというイメージがあるので、DIYできるならかなり費用が抑えられそうな感じもします。
ここでは、外壁塗装をDIYする際に事前に知っておいた方がよいポイントや、費用、注意点などについて解説していきます。
外壁塗装を自分で行うには
かつては、「日曜大工」という呼び名で親しまれていた大工作業。本棚やイスなどの家具、犬小屋を作ったりなど、最近ではDIY(Do It Yourself)という呼ばれ方をするようになってきました。
そして、「塗料を塗るだけ」というイメージが強い外壁塗装も、自分でできるのではないかと考えている人が多いかもしれません。しかし、実際にDIYで塗装をするときには注意しなければならない点がたくさんあります。
必要な道具と費用
自分で外壁塗装を行う場合、いくつか必要な道具を揃えることになります。
足場
手の届く範囲内の一部を塗る場合なら、足場をかけずに塗装することができます。少し高い場所ならハシゴを利用する人もいます。大きさにもよりますが、ハシゴは数千円から数万円で購入ができます。
ただ、1階だけでなく2階の外壁も塗るようなら、足場を使うことをおすすめします。塗装業者に依頼すると、家のまわりに足場を組んでいるのを見かけたことがある人は多いでしょう。足場を組むことで安定した状態でスムーズな作業ができます。
また、足場の種類にもよりますが、塗料の缶や道具を足元に置くこともできます。はしごを使う不安定な状態より、体勢のバランスが良いので作業効率がアップするでしょう。ホームセンターで足場の資材を買って自分で組み立てる人もいますが、設置が不十分だとかなり危険を伴います。
一般的な家庭では足場を持っていなため、足場業者に設置をお願いすることになります。足場のレンタルは工事日数分の料金がかかります。足場を組む範囲によりますが、費用は10~20万円くらいはかかるでしょう。
養生シート
塗料は風で飛び散るので、窓枠や窓に付かないように養生シートが必要です。隣家との距離が近い場合、特に養生することは大事です。近所の洗濯物や自動車に塗料がつくなど、塗料の飛び散りでトラブルになるケースもあります。養生シートで飛散を防ぎましょう。
マスキングテープと呼ばれるテープと、シートが一体になったものがホームセンターで売っています。住宅の大きさにもよりますが、1~2万円程度と考えておくといいでしょう。
刷毛、ローラー
塗料を塗るために使う刷毛やローラーは、数百円から数千円で購入できます。広い面積を効率よく塗るためにはローラーを使い、細かい部分は刷毛で仕上げていきます。
コーキング材
サイディングと呼ばれるボードタイプの外壁は、ボードとボードの間の繋ぎ目である目地にコーキング処理が必要になります。コーキングは経年劣化により、ゴムがやせ細って隙間が出てきます。これをそのままにしておくと、目地から雨水が住宅内に侵入します。
外壁塗装の前には、新しいコーキング処理をすると仕上がりが良くなります。300ml程度の容量で、1,000円以内くらいの費用がかかります。
洗浄に必要なホース、ブラシ、高圧洗浄機
塗装前には、既存の壁表面にある汚れやカビなどを取り除く必要があります。塗装業者に依頼すると「高圧洗浄機」と呼ばれる機械で、細かい汚れも落としてくれます。業務用のタイプはパワーがありますが、自分でDIYならホームセンターで売っている1~2万円のものでいいでしょう。
高圧洗浄機にお金をかけたくないなら、ブラシとバケツを数千円程度で購入し、手作業で汚れを落としていきましょう。
塗料
塗装業者に依頼して塗装をするときと同じように、基本的に「下塗り・中塗り・上塗り」と三回塗っていきます。
下地と塗料を密着させるための下塗り塗料は、中塗り・上塗り塗料に合せて選びます。使用する量によりますが、15,000~50,000円程度かかります。
中塗り・上塗り塗料は、塗料のグレード、使用する量にもよりますが数万円から10万円くらいかかるでしょう。
自分で行う際の注意点
業者に依頼しない分、コストが抑えられるのがDIYです。しかし、「お得に済ませられる」というメリットばかり重視すると、失敗してしまうこともあります。もし自分でやるなら、以下の注意点を参考に、じっくり検討してみてください。
高所での作業はリスクが伴う
家の外壁すべてを塗装するためには、高いところでの作業になります。「自分で外壁塗装するならお金をかけたくない」という気持ちでDIYをする人のなかには、足場を組まずにハシゴや脚立などで塗装をする人もいるようです。
「高いところは平気だから」と過信しても、塗装するための道具を持ちながらの作業はバランスが悪くなります。バランスを崩して転落するリスクはかなり大きく、数m程度の高さであっても死に至るケースはあります。足場を組んでいたとしても落下の危険は考えておかなければなりません。
塗装後の寿命が短いことを知っておく
外壁塗装の目的は、住宅の美観を復活させることだけではありません。雨や風、紫外線から住まいを守るという意味もあります。
塗装を長持ちさせるために、業者に依頼した場合には外壁の汚れを落とすところから始まります。下地の傷みを補修し、そして下塗り、中塗り、上塗りと丁寧に塗っていきます。
しかし、DIYの場合は時間の都合もあって、正式な工程を省く人もいます。塗料を一回塗っただけでは、本来の塗装の目的が果たされず、数年もしないうちに塗装面が剥がれてくるケースもあります。
仕上がりに満足しないケースもある
塗料を塗っていくことは簡単に見えてかなり難しいです。塗装職人は、長年の技術から塗り方もクオリティが高いです。費用を抑えるために、安い塗料を選んでぎこちなく塗っていっても、「色ムラ」ができて失敗するケースもあります。
塗り方が悪くて見栄えが汚くなり、「失敗した」と後悔することも少なくありません。
まとまった日数が必要
DIYだから、隙間時間にやってしまおうという考えの人もいます。仕事をしている人なら週末限定で塗装をしようと考えることもあるでしょう。すると、塗装して乾いたところ、そして次に塗ったところなどの色ムラができます。
また、仕事や家の用事などで予定していた日に作業ができないと、スケジュールは伸びていきます。足場を組んでいる場合は、レンタル費用もその分追加されていき、結果的にDIYなのにプロに依頼した費用とあまり変わらなかったというケースもあります。
まとめ
DIYと言っても、必要な道具を揃えると40~50万円近くかかることもあります。足場を組まずに作業すれば費用は抑えられますが、かなりのリスクを伴います。
落下によってケガをすれば、治療費や入院費がかかるだけでなく、仕事や家事にも影響が出てきます。最悪の場合、死の危険も考えておかなければなりません。
また、仕事の合間に自分で塗装していくと、色ムラができて失敗することも考えられます。途中で断念した場合は中途半場な塗装になってしまうでしょう。
「上手く塗れた」と思っても、塗装後の耐久性もあまりよくないことが多く、数年後に塗り直しする結果になることもあります。費用をおさえるつもりのDIYが最終的に高い費用になるかもしれません。
安さを期待しての「危険なDIY塗装」よりも、完璧な仕上がりが得られる「プロの塗装業者による塗装」の方がやはり安心です。短期間で工事が終わり、塗った後の失敗がありません。
楽しいはずのDIYですが、塗装におけるDIYは、「危険」、「失敗」がつきものです。DIYよりは費用がかかりますが、本格的な塗装はリフォーム業者にまかせるのがおすすめです。