リフォーム工事を行う時、複数の業者から見積もりを取って、比較することはよくあることです。しかし、業者によって見積もりの形式は様々ですので全く同じ条件で比較するのは難しいでしょう。
そんな時ポイントを押さえて見比べることが出来れば、ただ総額を比較するだけではわからない工事内容や工事工程の違いも確認でき、最良の選択が出来るのではないでしょうか。
見積もり書の各項目の意味
見積もり書はそれぞれの業者によって書式の違いがありますが、見積もり書に記載されている内容は同じようなもののはずです。
各項目に沿って意味を理解していれば内容を吟味し、総合的に判断することができます。ではどういった項目があるのでしょうか。
見積もり内訳書
見積もり内訳書とは工事費の合計金額や値引き金額、消費税額の総合計を計算したものを記載しています。したがってその合計は額面金額と一致しています。
税別の工事費に対して値引きがどれくらいか、そして消費税がどのくらいかかっているかなどを確認することができます。
内訳明細書
リフォーム工事には工事の内容によってはいろいろな業種の工事が絡んでくる場合があります。
例えば、床がタイルの汲み取り式和式トイレをバリアフリーにして、洋式水洗トイレにリフォームする場合、工事の内容として大工工事、給排水の設備工事、電気工事、内装工事など多種の職人が絡んできます。
工事一式○○円という見積もりの業者もいますが、それではどの工事にいくらかかっているのか解りませんので、細かく業種別に分けるのが一般的です。
内訳明細書は大工工事に合計○○円、電気工事に合計○○円といったふうに、それぞれの業種の合計の金額が記載されています。
明細書
内訳明細書で項目別の合計が記載されていますので、明細書はその合計の内訳を記載しています。
例えば、大工工事で坪単価○○円といった工事でも、手間代は坪単価で計算されていますが、大工工事を行うのには木材や断熱材といった材料も絡んできます。
先に述べたトイレ工事を例にとっても、廊下から一段下がったタイルの床をバリアフリーにするには、床材の下地が必要ですし、段差を解消するためには嵩(かさ)上げをしなければいけません。
大工工事は床の嵩上げから、床材の仕上げ、壁紙の下地などいくつかの項目にわかれます。手間代プラス材料も必要になってくるわけですから、大工工事ひとつでも明細は何行かになるでしょう。
また電気工事や設備工事は日当計算ではありませんので、コンセントを増設したり照明器具を交換したり、給排水の位置の移設、便器の据え付けなど工事内容別で金額は計算されますから、そういった細かな内容を明細書に記載をしています。
明細書には工事項目だけでなく、どういった材料や商品を使うかという記載もしています。
下地に使うのは合板か石膏ボードか、設備の型番や壁紙の品番など、より細やかに記載されている業者は工事内容をキッチリ管理・把握し、材料なども無駄のないように見積もりしているという表れです。
諸経費内訳
見積もり書の項目には諸経費という項目があります。これはリフォーム工事を行うにあたっての運搬費や現場管理費などを指している場合が多いです。
リフォーム工事は住みながら工事を行うことが一般的ですので、工事をする箇所以外は当然通常の生活をしています。ですから埃や木屑などが扉の隙間から他の部屋に飛んで行ったり、通路になる部分が汚れたり傷がつかないよう養生をしなければなりません。
養生はビニールタイプのものやシート状になったものなど様々ありますが、使い捨てにするものですので、各現場で新しいものを用意する必要があります。それらの材料費なども諸経費に含まれることが多いのではないでしょうか。
また新築工事や大掛かりな全面改装などとなると、工事終了後引き渡し前に美装をするのは美装を専門にしている職人になることが一般的です。
ですが、、1室のみのリフォームや部分的なリフォームの場合は美装屋に発注すると金額が高くなりますので、元請けである業者の担当者が美装を行います。そういった場合諸経費の中に美装手間代を含んでいるケースがあります。
見積もり書を比較する際のチェックポイント
相見積もりを何社かから取ったとしても、同じ形式・様式ではありませんので、一概に比較するのは難しいかもしれませんが、ポイントを理解できれば比較は可能です。
こんな業者は要注意
見積もり書の中身がすべて一式工事で記載されている業者は注意しましょう。
前述している通り、リフォーム工事にはたくさんの工事項目が付随してきます。それらを一式として記載している場合は、多めに人工数をみていたり、材料も何を使用しているのか不透明です。
また型番などの品番があるものの記載もキッチリしていないと、施工後に頼んだ物と違ったなどのトラブルにもなり兼ねませんので、打ち合わせをした通りの明細になっているかどうかチェックすることがまず大切と言えるでしょう。
商品名の記載
リフォームには型番や品番などがある商品が必ずといっていいほど関わってきます。
たとえばシステムキッチンにしても、細かな部材の詳細は別途プラン表があるでしょうが、それらのプランに対して一括品番や提案№というものが存在します。
特にキッチンのリフォームは何度もプランの変更をすることがあり、提案№はどんどん変わってきますので、最終決定したプランがどれかを間違わないためにも記載は重要なのです。
また型番や品番がある商品には定価という金額設定があります。商品によってはオープン価格という表示で定価設定がないものもありますが、カタログなどで定価を確認できるものは、その商品が定価の何パーセント値引きで見積もりに入っているかを比較しましょう。
商品の値引き率というのは各業者によってさまざまです。メーカーによって値引きの得意不得意もありますので、比較するにはわかりやすいポイントではないでしょうか。
単価や数量の確認
工事項目によっては坪いくら、㎡いくらという単価を記載しています。各業者での単価を比較するのは、たとえ1単価の差が1000円でも数量が増えれば金額の差は大きくなってきます。
例えば大工工事の単価が10000円と12000円の業者があったとします。リフォーム工事を行うために大工の工事日数が10日かかったとしたら、総額で20000円の差が出てきます。そのようなことが積み重なれば、総額の差も大きくなりますので、単価や数量の比較はおさえておきたいポイントです。
諸経費の金額が妥当かどうか
諸経費の中には各業者によって含んでいる内容はさまざまですが、目安として工事代の10~15%が目安と言えるでしょう。
あまりにも高すぎる場合は諸経費の内訳の説明を求めたほうがいいかもしれません。不透明な部分故、上乗せしている業者も少なからずあると言えるでしょう。
リフォーム工事の見積もりは業者によって異なるのは仕方がありません。総額だけで判断してしまっては手抜き工事をされて、後でトラブルになる可能性もあります。
安ければいいということではなく、見積もり書の内容をそれぞれキッチリ精査し、比較できるところは比較をしてみて、間違いない工事をしてくれる業者に金額の折り合いを求めてみるというのが、失敗しないリフォームの秘訣と言えるのではないでしょうか。