古民家をリノベーションする際の費用相場と補助金について

古民家をリノベーションする際の費用相場と補助金について

昔ながらの日本家屋は趣があり、なんだか懐かしく落ち着く雰囲気が魅力です。一度は住んでみたいと憧れる方も少なくないのではないでしょうか。

古民家を現代人の暮らしに合った住まいにリノベーションをして再利用する動きは実は根強い人気があります。

古き良き日本の伝統的な建築方法で建てられた古民家を、リノベーションをする際の費用やポイントなど知っておきましょう。

古民家再生で受けられる補助金と費用相場

古民家をリノベーションするとなると気になるのが費用です。昔ながらの日本家屋なので築年数も50年以上経ってるものが多いため躯体部分も補修が必要であれば費用はかさみます。

国や自治体の補助金や助成金をうまく活用して費用を抑えることができればより良いですね。

補助金

昨今の国の動向は空き家問題や環境問題を解決するために、既存の住宅を活用してもらいたいという方向に向かっています。

新しく建てるよりも中古住宅を購入して、リノベーションを施し、省エネ住宅に住んでもらいたいため公的支援にも力を入れています。

しかしながら国の補助金というのは、いろいろと要件が厳しいのが現状です。

例えば最大300万円の補助を受け取ることができる「長期優良住宅化リフォーム推進事業」という補助金は、耐久性があり、地震に強く、省エネ性が高く、維持管理がしやすい建物にリフォームするという目的があるため、新耐震基準以降の建物でない場合は耐震工事もきっちり行わなければなりません。

事前に建物調査のインスペクションを受け、補助金の交付を受けるためには様々の工事が付随してきます。

実際、築50年以上の建物でこの補助金の要件をクリアするには、莫大な費用がかかるようです。

地方自治体によっては、空き家対策や古民家再生促進のために補助金や助成金を交付しているところもあります。

伝統的建築物の保護やまちなみ景観の維持に力を入れている地域もありますので、古民家をリノベーションする際はそういった補助金や助成金に力を入れている建築業者を見つけることが近道かもしれません。

古民家をリノベーションの公的支援は補助金だけではなく、税金の軽減も期待できます。

固定資産税を軽減できることもありますが気をつけなければいけないのは、増築を伴うリノベーションです。

増築を伴うとリフォーム減税が受けられない場合がありますのでリノベーションをする際は補助金、助成金に加え減税のこともしっかり調べておきましょう。

なお、以下のサイトで市区町村別の住宅リフォーム支援制度確認できます。内容が変更になる場合もあるので、利用前に各自治体に確認してください。

※参考:地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
http://www.j-reform.com/reform-support/

費用相場

リノベーション費用は古民家に関わらず、どこからどこまで手をいれるかによって大きく異なってきます。

古民家でもお風呂やキッチンといった設備の入替えだけで済ますのであれば300万~500万円でおさまるでしょう。

しかし、間取りをごそっと変更して、すべての段差を解消してバリアフリーに、断熱材も施し、屋根瓦も葺き替え、耐震工事もするとなると1,000万円~3,000万円と大幅に費用はアップします。

リノベーションは費用をかけようと思えばいくらでもかけることができますので、最低限譲れない部分は費用をかけて、予算と相談しながらどこまでやるのか判断するのがポイントです。

古民家をリノベーションする際のポイント

古民家をリノベーションするためにはいくつか注意するべきポイントがあります。いざ住んでみて「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために知っておきましょう。

また、新築では手に入れることが難しい、古民家住まいの魅力はいったい何なのかについても見ていきます。

古民家の魅力

日本人の暮らしには昔から森や木が深く関わっていました。木の温かい肌合いや香りが心を落ち着かせてくれるだけでなく、呼吸をする木材が家の中で暮らす人々を、四季折々の暑さや寒さから守ってくれていました。

古民家は今では希少なヒノキやケヤキの木を使い、強度のある柱や梁で造られていることが多いようです。

土間があり縁側があり職人の技が光る建具がある。そんな家を新しく建てようとしても莫大な費用がかかります。

高度成長期以降、価格が安く短命な家がたくさん建てられていますが平均寿命が30年というのは短すぎる気がします。

家も人と同様、80年くらいの寿命を持てるように適切なメンテナンスをして後世に住み継いでいけたらすばらしいですね。

固定資産税が軽減される

古民家と呼ばれる家に明確な定義はありませんが、昭和初期の日本建築を指していると思われます。

強度のあるヒノキやケヤキの木を使いしっかりとした柱や梁で骨組みをし、屋根は焼物の日本瓦で葺いているため骨組み自体はとてもしっかりしています。

古民家リノベーションは使えるものはそのまま使うことで資源の保護にもつながりますし、現代の設備機器と昔ながらの趣きを残したリノベーションを施せば魅力ある住まいが実現するでしょう。

また古民家をリノベーションすると固定資産税が軽減されます。しかし増築の場合は注意が必要で、自治体によっては古民家の増築に許可がおりない場合もありますので事前に確認しておきましょう。

耐震規準に注意

強度がある木材を使用しているからと言って安心はできません。現代の耐震基準にはみたないことがほとんどですので、正しく耐震診断をし、補強を施さなければなりません。

とは言っても耐震工事の補助金を利用するためには、費用をかけた工事を行わなければなりません。

内装工事も趣のある古民家の魅力を引き立てるためにこだわりすぎると費用が莫大になり、新築以上の予算が必要になる場合がありますので、どこで折り合いをつけるかがポイントになります。

屋根瓦にも注意が必要です。昔の屋根は土葺と言って瓦の下に粘土質の土を乗せそのうえに瓦を乗せていますので屋根全体の重量がかなりあります。

耐震性能にも関わってくる重要な部分ですので、可能であれば土を降ろして現代の瓦葺きの工法でリノベーションをしたい部位です。

また古民家の最大のデメリットは断熱性能ではないでしょうか。夏は涼しく冬は暖かい木材ですが、昔の家は気密性に欠けます。

土間も地面からの冷気がダイレクトに伝わってきますので、断熱性、気密性をあげるリノベーション工事が必要になってきます。

工事する際の注意点

リノベーションを行うときデザイン性やインテリア性を大事にしがちですが、ずっと暮らす家なのですから快適性もとても重要です。

そのためには断熱性能をあげるために壁や床下に断熱材を入れたり、窓を複層ガラスやエコサッシに入れ替えたり、設備は省エネタイプのものを採用したりイニシャルコストだけでなく、住んでからのランニングコストがかからないようにリノベーションの時から考えておきましょう。

まとめ

古民家は日本の職人技が巧みに施されていたり、良い材料で建てられているケースが多くとても魅力的でノスタルジックな趣のある建物です。

適切なリノベーションを施せば築50年以上経った家でも、長く次世代まで引き継いでいくことができます。

最新の技術で新しい家を建てることは容易いですが、歴史のある古民家をリノベーションして最新設備と融合した、趣ある住まいを手に入れてみてはいかかでしょうか。