家などの建物は外壁の素材にもよりますが、新築してから10年を目安に塗装のメンテナンスが必要になってくる場合があります。
塗装と言っても塗料を塗るだけでなく、さまざまな工程があり費用がかさむものです。外壁塗装工事の費用相場を知り、国や自治体の補助金や助成金を有効活用して家のメンテナンスの計画を立てておきましょう。
外壁塗装の工事費用の目安
外壁塗装を依頼する場合、新築した工務店やハウスメーカーに頼むのか、地場の工務店に依頼するのか、また塗装業者に直接依頼をするのかさまざまなケースが考えられます。
依頼先により工事費用も異なるでしょうが、悪徳業者や訪問販売なども多々ある外壁塗装工事ですので、基本的な工事の内容や費用の目安を知っておくことが大切です。
足場とシートの費用
外壁塗装をするにはまず足場が必要です。平屋の場合は必要ないケースもありますが、2階建て以上の場合は足場がないと工事の効率も悪く、また安全確認が出来ないため工事を断る業者もいるほどです。
足場工事は㎡数で計算され、単価は400円~800円です。複雑なカタチや階数が多い建物になると単価が上がる場合があります。足場には金属製のものや木製のものがありそれによっても単価は異なるでしょう。
塗装工事は塗料が飛んだりすることも考えられますので、必ず足場に飛散防止シートをかける必要があります。シート掛けの費用は100円~300円ほどでこれも㎡単価で計算されます。
高圧洗浄の費用
塗装をする場合まず最初に、高圧洗浄機で外壁を洗い余分な汚れやゴミを取り除きます。
この工程をしないと塗料の付着に差がでてきてしまいますので、重要な工程です。
費用の目安は200円~300円で、単価は㎡いくらとなりますので、塗装面積と同等の㎡数になるでしょう。
シーリング工事の費用
外壁素材がサイディングの場合、パネルとパネルの間を埋めているシーリングがあります。年数が経ってくるとこのシーリング部分も劣化が進み、放置しているとそこから雨水が浸入してしまいますので、外壁塗装をする場合はシーリングの打ちなおしや打ち替えも行います。
またサッシと外壁との取り合いの部分などもシーリングを打っていますので、メンテナンスを行うようにしましょう。雨漏れはサッシまわりのシーリングから起こることも多いので注意が必要です。
費用の目安は打ち直しの場合700円~900円、劣化した部分を撤去し新たに打ちなおす場合は900円~1,200円ほどになるでしょう。
下地補修費用
既存の外壁が朽ちていたり、劣化が激しい場合はそもそもの外壁材を補修しなければ塗料を塗っても気休めにしかなりません。ですから下地の破損がある箇所はモルタルなどで補修をしてその上に塗装を施します。
下地補修の費用は15,000円~30,000円ほどが目安で、劣化具合や痛みの範囲によって費用はさまざまです。
下塗り費用
高圧洗浄、下地補修、シーリングの作業のあとは塗料を塗っていくわけですが、仕上げ塗料の付着ともちが良くなるように下塗りを施します。下塗りはシーラーやプライマーと呼ばれ仕上げ塗料と外壁とを密着させる役割がありますのでとても重要な工程です。
下塗りがキチンと出来ていないと仕上げ塗料がすぐに剥離してしまいます。外壁面の劣化具合により水性、油性を使い分けます。
費用の目安は㎡、600円~900円ほどでしょう。
仕上げ塗料の費用
外壁塗装をするための塗料にはいろいろな種類があり、それぞれ耐久性や特徴が異なります。一番安価なのはアクリル系の塗料で㎡、1,000円~1,200円ほどです。
続いて価格が安いのはウレタン系の塗料です。単価は1,800円~2,000円で、一般的によく使われるのがシリコン系の塗料です。シリコン系塗料の費用は2,500円~3,500円でアクリル系やウレタン系よりも高くなりますが、耐久年数は10年以上だと言われています。
安価な塗料を使ってしまうと耐久年数が短く、メンテナンスの回数が増えるため結果的に費用がかさんでしまいますので、塗料選びはとても重要です。
他にもフッ素系塗料3,500円~4,500円、光触媒塗料5,000円~5,500円、遮熱・断熱塗料5,000円~5,500円などもあり、費用はかさみますが耐久性や断熱性を高めたい場合は塗料にこだわるのも良いでしょう。
その他部位の塗装費用
外壁塗装を施す場合は外壁面だけの塗装では終わらず、外部に設置している他の部分も塗るようにしましょう。雨どいや雨戸、破風や軒天、木部や鉄部も劣化していくものですので同じように塗装をしておくとよいでしょう。
費用単価は700円~5,000円と幅広く、どの部位をどの塗料で塗り直すかによって金額は異なってきます。
外壁塗装の補助金や助成金について
外壁塗装工事に国の補助金や自治体の助成金が適応する場合があります。
補助金や助成金は調べてこちらから切り出さないと、使用できなかったり知らなかったりする場合がありますので、工事を依頼する際は工事業者に確認するようにしましょう。
補助金や助成金の確認方法
外壁塗装をする際、補助金や助成金があればとても助かりますよね。常時あるわけではない補助金・助成金ですから上手に利用してお得に外壁塗装工事をしましょう。
補助金や助成金があるかどうか確認する方法は、工事業者に問い合わせてみたり、市役所に相談してみたり、インターネットで調べるなどの方法があります。
工事業者はすべての業者が補助金などを利用して塗装工事を受注しているわけではありませんので、何社か問い合わせをしてみるのが良いでしょう。特に国の補助金を利用する場合は手続きが複雑な場合があり、申請業務を嫌う業者もいますから補助金利用に慣れている業者を見つけられると心強いですね。
自治体の助成金は管轄の役所に訪ねるのが早いでしょう。助成金はこちらから問い合わせをしない限り自治体の方から教えてくれることはありません。積極的に聞いてみることがポイントです。
なお、以下のサイトで市区町村別の住宅リフォーム支援制度確認できます。内容が変更になる場合もあるので、利用前に各自治体に確認してください。
※参考:地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
http://www.j-reform.com/reform-support/
申請できる条件
まず国の補助金で外壁塗装が適応される場合は、省エネ改修工事に附随するかたちが多いです。
外壁塗装だけの単体の工事ではなかなか国の補助金を受けることが難しいのが近年の傾向で、他の省エネ工事、例えば窓や床、天井の断熱工事、省エネ設備の導入工事などを行うことが条件で外壁塗装を同時に行う場合、遮熱や断熱塗料を使用して塗装工事を行えば、その部分の工事費も補助対象になるというケースです。
国は建物全体の性能をあげて、長期にわたって保つことのできる性能の家づくりに力を入れていますので、建物全体の省エネ性能をあげなければならないのです。
各自治体の補助金や助成金は、地域によって住宅改修リフォーム補助金などを出している場合があります。その場合外壁塗装工事も補助対象工事に含まれるケースがありますから、そのような補助金を利用すると安く塗装工事が行えるかもしれません。
受け取りまでの手続きと流れ
補助金や助成金を利用する場合は、工事着工前に申請書類をだして、受理されてから工事着工を行います。まれに工事後でも、遡って補助金申請が出来る場合がありますが、ほとんどが事前申請になります。
工事に着工する前に既存の状態を写真添付したり、チェックする項目があり、申請の事前着工が不可のパターンがありますので、補助金を利用する場合は早まって工事をしないようにしましょう。
申請が受理されれば、期限までに工事完了をして、完了報告書類を出さなければなりません。その期限が過ぎてしまうと補助金申請が受理されていても補助金がおりない場合がありますので、日付管理は充分注意が必要です。
補助金の場合工事後に完了報告を提出して、しばらく後に補助金が振り込まれます。業者に代理申請を依頼している場合は業者に入金になるケースがあり、入金後返金してもらうか、工事代金から相殺するかになります。
補助金や助成金の申請には補助対象になる塗料の詳細や、㎡数の計算など施主側には馴染みのないことが多々ありますので、出来れば業者に代理申請してもらったほうがスムーズに補助金の受理ができるでしょう。
また自治体などの補助金や助成金では現金での受理ではなく、地域の商品券やサービス券で還元している場合もあり、地域でお金を使ってもらう地域活性目的を兼ねている補助金などもあります。
まとめ
外壁塗装は少なくても2社以上の相見積りを取り、総額だけでなく工事工程ごとに見比べることが大切です。塗料の質で外壁塗装面の耐久年数は大きく変わりますので費用が安ければいいというものでもありません。
補助金や助成金があれば良い塗料で費用を抑えて外壁塗装を施すことができますので、見積もりをする際は、補助金の有無も確認するようにしましょう。