建物は新築から10年、20年と経過すると、家のいろいろな箇所に不具合がでてきます。
外壁や屋根の塗装に始まり、キッチンやトイレ、お風呂などの水回りの設備まで至るところが傷んできます。
家を長持ちさせるためには適切なリフォームをすることを考えなくてはなりません。どれくらいの費用がかかるのか、リフォーム工事費用を安くするコツはあるのかを事前に把握していると、最適な時期に費用を抑えてリフォームをすることができます。
リフォーム工事費用を安くするには?
例えばキッチンのリフォームと言っても、コンロや換気扇といった機器類のみを交換するのか、最新のシステムキッチンに入れ替えるのかによってかかる費用は異なります。
キッチンを入れ替えるとしても、レイアウトを変更したり、食器棚をシステムキッチンと同じシリーズのカップボードにするとさらに費用はかさみます。
キッチンのレイアウトを変更しないで、引き出しやシンクなどはまだまだ問題なく使えるようでしたら、コンロや換気扇のみを交換する方が安く済むでしょう。
またキッチンを入れ替えるとしても、メーカーのシステムキッチンには必ずいくつかのシリーズがあり、それによって金額設定や値引き率も異なります。いいグレードのものは定価も高いですし、値引き率も悪くなります。
少しでも金額を抑えるのであれば、普及品や定番品などの価格のリーズナブルなものを選ぶといいでしょう。レイアウトを変えないでキッチンの間口も同じ寸法のものでリフォームするなら目安となる金額は商品代、工事費、諸経費等すべて含めてキッチンの定価ぐらいの金額になるでしょう。
リフォーム費用の決まり方
リフォームの費用はおおまかに設備機器や建材などの商品代、配管や電気工事、大工工事などの基本工事費、養生や残材処分、設計や現場管理費などの諸経費で構成されています。
システムキッチンやシステムバスなどの大型の商品が絡むリフォームの場合は商品代の占める割合も大きくなります。工事費は床のフローリングの張り替え、壁紙の貼り替え、配管位置の移設や繋ぎこみ、電気配線の移設や増設などどのような内容の工事をするかによって工事費用は決まります。
現地調査の内容
リフォーム工事の見積もりを依頼すると、必ず現地調査をしなければなりません。
現在の間取りや水回りの位置、窓やドアの有無など細かに確認や採寸をし、どのようなリフォームにするかプランニングしたり、工事費用を算出して見積もりを作成します。
現地調査を行わないで見積もりを依頼すると、坪単価いくらといったザックリとした見積もりしか作成できず、業者も利益に足が出ないようにどうしても高めに設定してしまうのです。キッチリとした現地調査を行うほど、細かなプランニングや見積もりが作れます。
工事費用を安くするポイント
では工事費用を安くするには、具体的にどのようなことに気をつければいいのでしょうか。
相場を理解しておく
リフォーム工事の相場は地域や業者によって異なるでしょう。同じ地域でも大手ハウスメーカーのリフォームと地場の工務店では相場は違ってきます。新築でも同様ですが、大手は広告宣伝費などの経費もかさむため、同じ工事でもどうしても高い金額設定になってしまいます。しかし、設備機器などメーカーと契約してハウスメーカー独自のラインナップを生産している場合などは、工務店に依頼するよりも商品代は安くすむかもしれません。
トイレのリフォームは10万円~30万円、在来からシステムバスに入れ替えは80万円~200万円、システムキッチンの入れ替えは50万円~400万円とある程度の相場はありますが、選ぶ商品によって総額はずいぶん変わることを覚えておきましょう。
プランを変更する
見積もりをとってみて、金額をもっと下げたい場合はプランの見直しも必要な場合があるかもしれません。レイアウトを考え直したり、設備のグレードや仕様を変更すると金額が大幅に下がる場合があります。どうしても触る箇所が増えるとそれに伴い工事費用も増えてしまいますので、なるべく最低限の工事で済むようにプランニングを見直し、設備などの仕様も変更して余分な費用がかかっていないか見直してみましょう。
工法を変更する
間取りの変更や増築をする場合、柱や梁を木材にするのか、軽量鉄骨などで賄うのかで工事費用や材料費が変わってきます。金額を安くするために、大工の造作で出来る部分は生木を使って加工をし、そもそもの工法を変更することも視野に入れてみましょう。
材質や素材を変更する
システムキッチンは扉の面材を替えるだけで金額が変わることをご存じでしょうか。選ぶ材質や面材、使用する材料の材質や下地などによって金額が下がる場合があります。
どうしても譲れない部分はそのままで、こだわらない箇所は材質や素材の検討をし直すことで工事費用を安く抑えることができますので、リフォーム業者の担当者に相談をするといいかもしれません。
追加工事する際の注意点
初めに契約した金額と実際工事が始まって終了した時の金額が変わっている場合はよくあることです。リフォーム工事には壁の中や床下を開けてみて初めてわかる劣化や破損などがどうしても付き物です。追加工事が発生したとき注意したいポイントを知っておきましょう。
発生する原因
工事を進めていくなかで予期せぬ出来事が起こる場合があります。普段は見えない壁内や天井裏、床下などに雨漏れや躯体の劣化などが見つかった場合それを放置して工事を進めるわけにはいかなくなります。
躯体の劣化は建物にはとても深刻な問題ですので、そこを補修するとなると追加工事が発生してしまいます。
また、リフォーム工事が始まると初めに予定していた工事以外にも、ついでにここも直したいとか他がキレイになった分、触る予定のなかった箇所にも目がいき、全体にキレイにしたくなるといったケースもあります。
よくあるトラブルや失敗事例
工事中に追加で工事を発注する場合はあれもこれもと頼んでしまって、請求時に予定の予算をオーバーしてしまったというケースはよくあることでしょう。
追加工事を依頼する際は必ず見積もりをとりましょう。
口頭ではなく出来れば書面で見積もりを提出してもらうようにすると、業者側も追加分を少し多めに上乗せして請求することができなくなります。
また打ち合わせ不足や認識の違いで、思っていた工事内容と違うといったトラブルもあります。担当者と依頼主との間で工事内容に相違がでるのは説明不足であったり、聞き漏れだったりします。それらは打ち合わせをキッチリ行い、商品などはショールームに足を運びサンプルなどで仕様や色柄を確認することで解消できる問題です。
まとめ
リフォームの費用をなるべく安く抑えるのはとても重要なことです。
しかし、金額ばかりに囚われすぎないことも大切です。部分的に工事をするよりもある程度まとめて工事をする方が職人の手間代が安く抑えられる場合もありますし、劣化や痛みが酷くなりすぎて余分な補修費用がかさむ場合もあります。
建物を長くもたせる秘訣は適切な時期に定期的なメンテナンスを行うことです。
車に車検があるように、建物も定期的な検査やメンテナンスを心がけることが結果的に費用を抑えることにも繋がる場合があることも知っておきましょう。