リフォーム、リノベーション、コンバージョンの意味の違いを英語で比較

リフォーム、リノベーション、コンバージョンの意味の違いを英語で比較

住宅は長年住んでいると、あちこち老朽化してくるものですので、適正なメンテナンスをすることが、家を長持ちさせる秘訣とも言えます。

その家のメンテナンスを行うときに、一般的にはリフォーム、リノベーション、コンバージョンという選択肢があります。

それぞれの持つ意味や特性を理解し、家の老朽化対策と長持ちさせる方法を選択していきましょう。

3つの違いについて

住宅改修工事を言いあらわす際、リフォーム、リノベーション、コンバージョンといった3つの言い方があります。

これらの言葉は共通して、「家を直す、改修する」といった意味合いが含まれていますが、本来の英語の意味と実用で使用されている言葉の意味を、改めて見直してみましょう。

実際のところ、明確な定義はないのですが、リフォーム、リノベーション会社やメディアでは、それぞれの解釈に基づき使用していることが多いようです。

リフォームとは

「リフォーム=reform」と表記しますが、和訳すると「改善する、改良する、改革する」といった意味です。

社会制度などを改正、改革、改善するといった意味で使用されたり、人を改心させる、更生させるといった意味でも使用されます。

住宅に関してリフォームするという使い方に関しては和製英語ですので、外国で住宅改修のことをリフォームと言っても通じず、英語では「リノベーション=renovation」を使用することが一般的です。

reformは、re-formとしてみると、元の形に戻すという意味になりますので、故障部位や不便な箇所を現状復帰するための営繕工事、修繕工事となります。また、老朽化した住宅を新築当時の状態に戻すこともリフォームという言い方がなされます。

reformは作りなおすという意味合いもありますので、床面積を増やさず家の中の間取り変更や外回り(外壁や屋根瓦の色を塗るような工事を含む)の模様替えといった工事がリフォームと呼ばれています。

他にも、畳からフローリング、キッチンや浴室・トイレといった設備機器の取り替えやオール電化、耐震性能の向上やエコガラス・複層ガラスに変更する省エネルギー性能の向上といった工事をする場合はリフォームという言葉を使います。

リノベーションとは

「リノベーション=renovation」は、和訳すると「修復・刷新する」といった意味です。「一新すること、あるいは元に戻すことにより改良する行為」ともありますので、これを住宅に関してリノベーションすると言った使い方に当てはめると、「古くなった住宅を作りなおして価値を高める」という解釈ができます。

また、古くから使われてきたリフォームという言葉に対して、近年よく耳にするようになったリノベーションという言葉は、ただ住まいの傷んだところだけを直すのではなく、そこに暮らす人のライフスタイルや、趣味嗜好を暮らしに取り入れ生活ができる住まいを提案し、工事をすることを指しています。

最近の日本の住宅事情は、ストック型に変わりつつあります。古くなったから壊して建てなおすという考えから、価値のあるものを手入れし長持ちさせ、そして次世代に引き継いでいく。その循環型のサイクルのために、住まいのリノベーションは重要が高まっているといえるでしょう。

また中古住宅を購入してリノベーションを施すと費用の削減、新築では空いている土地がない立地での住居の確保、自由設計で好きな間取りに、使えるものは使ってエコライフ、新築には出せないビンテージな味わいなど様々なメリットがあります。

コンバージョンとは

「コンバージョン=conversion」は、和訳すると「転換する・改装、改造する」といった意味があります。家や建物を改装する、改造するというそのままの意味として使用できる言葉です。

日本では既存の建物の全面改装を施し、用途変更をして再利用することをコンバージョンといいます。たとえば、賃貸事務所だった建物の構造躯体の柱や梁を残しスケルトン状態にして、リノベーションを施し、用途を住宅として変更し再生させるような場合をコンバージョン建築といいます。

コンバージョンのメリットは、建物自体を新築することなく再利用できることで、短期間で新しいものに生まれ変われるうえ、コストが大幅にカットできることにあります。

昔ながらの作りの倉庫や酒蔵などをリノベーションし、飲食店や商業施設に生まれ変わらせたりすると、どこか懐かしい面影を残しつつ、現代の利用客に適した施設を作ることができ、その場所、その町に馴染んだ新しいものを演出できることでしょう。

空き家が目立つ利便性の高いオフィスビルなども、集合住宅にコンバージョンをすることで賃貸物件の需要で採算が取れたり、人口が減った場所に人を呼び戻すというメリットも生まれてきます。

既存の建物を利用するコンバージョンは耐震性を見直したり、デザイン性を高めることでその建物に新たな価値を見出すことができるので、建物の持ち主にも借主にも環境にも非常に優しいと言えるでしょう。

都市部の方では、空き家が目立つビルを建築家やデザイナーの手によって、SOHOという寝泊まりできる仕事場にコンバージョンすることで、重要が高まる物件になるという動きも見られています。また、シェアオフィスやコワーキングスペースを作ると事務所を持たずフリーで仕事をしている人が増えているため需要は高まるでしょう。

まとめ

日本の住宅は他の先進国の建築物に比べ寿命が短いと言われています。その理由としては戦争という歴史が大きく関わっています。戦争で家を失ったあと復興は急ピッチで進みました。

しかし、とにかく住むところを確保しなければならないという状況のなかで、時間とお金をかけて建築するわけにはいきませんでした。戦後の成長期だからこそ手頃な価格で多量な住宅を建てるためには、耐久性を重要視している場合ではなかったのです。

そんな歴史の中で、日本の住宅の耐久年数は短いという価値観が主流になっていってしまったのです。

日本の多くの住宅は木造建築です。実は木造建築は定期的なメンテナンスをしていけば100年はもつと言われています。歴史的な木造の建築物は充分な手入れが施され何百年ともっているものもあります。

約30年が寿命という日本人の価値観が、定期的な家のメンテナンスをするという概念から遠ざけてしまっていると思います。その結果、壊して建て替えるというサイクルが出来上がってしまいました。

欧米諸国では50年も100年も耐久性がある住宅が一般的ななか、日本の住宅寿命は平均30年と言われています。30年たてば家を建て替える、住むなら新築という日本人の価値観はこうして育っていきました。

子どもたちは結婚し実家を出れば、家を新築する。そして実家に住む人がいなくなれば空き家になり、手入れのされなくなった空き家はどんどん老朽化する。近年ではこうして増加していった空き家は社会問題にまで発展しています。

空き家問題は政府も対策を打ち出しています。中古物件の補助金や助成金も増えてきていますので、そういった補助金を上手に活用し、古い建物の耐震性能や省エネ性能を向上させる目的も取り入れたリフォーム、リノベーションやコンバージョンの価値や可能性が、今とても見直されているといえるでしょう。

住宅にとって適切なリフォーム、リノベーション、コンバージョンを施すことによって、新たな価値が生まれ長寿命の建築物に生まれ変わることができるということは、頭に入れておきましょう。