家を建ててから年数が経ってくると、設備機器が傷んできたり家のあちらこちらが老朽化してきます。家族の人数や暮らし方も変化していき、住みやすさを求めたり、不満や老朽化を解消するためにリフォームや建て替えを考えるものです。
住み慣れた家でいつまでも暮らしたいとは思うけれど、家が古くなると暮らしにくいだけではなく安全性も気になってきます。しかし、リフォームか建て替えといっても、各家の状況によりできることは異なります。
自分の家がリフォームに適しているのか、また建て替えた方がいいのか現況をよく知り検討することが大切です。
メリットとデメリットを比較
家をリフォームして住み続けるか、建て直して新しい家にするかは、その建物の状況と予算が大きく関係してきます。リフォームも建て替えもメリットとデメリットがあります。それらを知ることから始め、安全で快適に暮らせる理想の住まいを手に入れましょう。
リフォームをするケース
家をリフォームするといっても様々なケースがあります。傷んだ部分を最小限だけ直して住むのか、間取り変更もして耐震のこと、断熱性のこと、バリアフリーのことなど総合的に考えリフォームするのか。どのようなリフォームをするかで状況は変わりますが、まずはリフォームのメリットとデメリットを考えてみましょう。
リフォームのメリット
家をリフォームする場合のメリットは、なんといってもコストダウンです。既存の建物の柱や梁、基礎といった構造躯体部分はそのまま活かすことができますので、建て替えよりも格段に費用が抑えられます。
また、リフォーム費用以外の経費がかからないことも重要です。建て替えの場合、既存の建物の解体や廃材処分、仮住まいへの引っ越し費用など、なにかとリフォーム工事費以外の費用もかかりますが、リフォームの場合は解体費用も最小限で抑えられ、大規模なリフォームでなければ住みながら工事をすることもできます。
工事期間が短く済むのもリフォームのメリットです。大規模なリフォームでも、おおよそ1ヶ月もあれば住める状態になります。LDKのみや水廻りのみの部分的なリフォームだと、一週間で工事が終わる場合もあります。
各種税金が軽減の対象になる制度もあります。たとえば、断熱性能の高い複層ガラスのサッシに交換するような省エネリフォームだと、所得税と固定資産税が減税になり、バリアフリーリフォームでも減税になる場合があります。
高性能建材には補助金もありますし、バリアフリーリフォームでは介護改修の補助金、耐震リフォームには地方自治体の助成金が適応されるケースもあります。
減税や補助金を受けるには一定の要件がありますので、全てのリフォームに適応するわけではありませんが、よく見極めて上手に利用するとお得にリフォームができます。
リフォームのデメリット
築年数が古い家のリフォームの場合、躯体の劣化が激しくなり、想定外の補修費用がかかるケースがあります。
工事がはじまり、壁をとってスケルトン状態にしたときに、思わぬ箇所の柱や梁が白アリや雨漏れが原因で傷んでいて、新しい柱に交換が必要になった、また補強を入れなければ耐震性能に問題があるなどのケースも多く見受けられます。
床下や天井裏、壁内などはリフォーム計画の時点ではすべて確認することができませんので、工事が始まってから思わぬ費用が発生する場合があります。またリフォームでは、構造上抜けない柱や動かせない壁など必ずありますので、部屋を広くできなかったり、間取り設計の自由度が制限されるということも起こります。
しかし、リフォームの技術は飛躍的に進化していますので、アイデア次第でかなり大胆な間取り変更ができ、や快適な住まいへと変化させることができます。
建て替え(新築)するケース
「古くなったのだから壊して新しく建て替えればいい」と思いがちですが、建て替えにもメリット、デメリットがあることを知っておきましょう。
建て替えのメリット
既存の建物を壊し建て替える場合のメリットは、間取りや動線、設備機器の不満を全て解消し、自由に設計ができることです。
建物の老朽化が進み結露に悩んでいたり、高齢者が暮らすには段差が多く安全面で不安がある、収納が圧倒的に足りなくて家具で収納量をまかなうなど、どうしても部屋が狭くなることによる住まいの不満が多すぎて、リフォームでは到底解決できない場合などは、建て替えをしたほうがスッキリ納まることでしょう。
リフォームの場合、構造上抜けない柱や取れない壁があり、間取りの変更に制限が出てしまいますが、建て替えの場合は一から間取りを考えることができるので、今まで不便に思っていたことも解消でき、より暮らしやすい家を造ることができます。
また建て替えになると、リフォームでは使えない住宅ローンが組みやすくなるメリットもあります。リフォームローンもありますが、金額の制限や金利のなど、新築ほどの手軽さはありません。
建て替えのデメリット
建て替えを検討し始めた時は、建築基準法を確認することが大切です。既存の建物の築年数によっては、現在の建築基準法では建てられない設計をしている場合があります。
敷地境界から建物までどれくらいスペースを取らなければならないか、道路から建物の距離、軒先の出など考慮した結果建て替え不可能となったり、思っていたより少ない建築面積になるなど想定外のことが起こる可能性があります。
建て替えの場合、かかる費用は既存の建物の解体、廃材処分費、仮住まいの家賃、2度の引っ越し費用など建築費以外の費用もかさみますので、コストは大幅にかかってきます。また工事期間も長くなり、4ヶ月以上かかる場合もあります。費用や工期の面も建て替えのデメリットと言えるでしょう。
まとめ
リフォームと建て替えのメリットデメリットを比較しましたが、おすすめの方法はどちらとも一概には言えません。既存の建物がどのような工法で建てられているかによってもリフォームの自由度は変わってきます。
在来工法(木造軸組み工法)であれば、柱と梁で建物を支えているため間取り変更の自由度は高いです。また2x4工法(ツーバイフォー)の場合は、パネルで建物を支える構造のため間取り壁を安易にぬけず、開口部を大きくすることも困難なため、間取り変更には制限があります。
リフォームが比較的自由にできる建物であれば、理想の間取りにも最低限の費用でリフォームできますが、リフォームに制限が多い建物だと多少コストがかかっても建て替えを選択したほうが、今までの不満を解消でき安心で快適で満足のいく家ができるでしょう。
悩んだときに大事なのは、どんな家でどんな風に暮らしたいかという希望を明確にし、現在の家の構造、老朽化具合を知ることが大切です。そのためには、事前にインスペクションという建物診断を受けることも有効です。
今の状態を知り希望通りの住まいにするためには、どれくらいの費用や工期がかかるかなども考慮して、よく検討をすることが大切です。