増築、改築(間取り変更)、減築する際の費用相場と注意点

増築、改築(間取り変更)、減築する際の費用相場と注意点

家を建てる時は建築確認という法律に沿った建物であることを証明する手続きを行います。建物を増築したり、間取り変更を伴う改築をしたり、また床面積を減らす減築をする場合も同様に建築基準法にのっとって申請や手続きを行わなければならない場合があります。

一度家を建てた時に検査を受け、建築確認がおりているからと言って、その後どのような増築や改築を行ってもいいわけではありません。
増築や改築、減築をする際の費用相場と注意点を学んでおきましょう。

容積率や建ぺい率について

地域によって建てられる建物には決まりがあります。
容積率や建ぺい率という限度があることをご存じでしょうか。

容積率とは

容積率とは敷地面積に対する延べ床面積の割合のことを指しています。
延べ床面積はその敷地面積に対して限度があるのです。

容積率の限度は都市計画によって定められた容積率以下としなければなりません。
したがって、まったく同じ建物を2棟建てるとしても、その敷地が属している用途地域によって延べ床面積が違ってくるのです。

建ぺい率とは

建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合のことをいいます。建築基準法では建ぺい率の限度が定められていて、この基準以上に広く建てることはできないのです。
自分の敷地なのに好きな大きさで家を建てられないというわけです。

また建ぺい率の限度は建物を建てる用途地域によってかわります。
新興住宅地に建てる場合と、会社や商店がたくさんある商業地域の場合では建ぺい率の限度は異なります。

しかし建ぺい率の緩和制度というものがあります。たとえば防火地域に指定されていない地域で建物を耐火建築物で建築すると、建ぺい率の緩和が適用され広く建てることができるのです。

建ぺい率も容積率もどの地域のどんな建物を建てることができるか、広さに決まりがあるのです。

申請手続きの方法

家を建てるときは建築確認申請といって、どこにどのような建物を建築しますという書類や図面を行政に提出しなければなりません。その申請を怠り、建築してしまった場合には請負業者の建築免許ははく奪されてしまいます。

新築の時はほとんどが建築確認申請を行いますが、リフォームの場合はどうでしょう。
増築では多くの場合で確認申請の手続きが必要になります。建てる面積にもより10㎡以下の増築で、かつその地域が防火地域、準防火地域外であれば確認申請を行う必要はありません。しかし10㎡以上の増築を行う場合は確認申請をしなければいけません。

そもそも増築が不可のケースもあります。
建ぺい率が目一杯の建物は許可がおりませんので、増築をすることはできません。

また2階建てを3階建てにする場合も増築不可になるケースが多いです。
そもそも新築当時は2階建てで計画をしていますから、構造的な問題で3階を乗せることは難しいのです。

間取り変更を伴う改装をする場合は確認申請が必要な場合と不要な場合があります。
床面積が増えない改装ではポイントになるのは骨組みである柱や壁になります。

例えば間取り変更をともなうが主要な柱や壁などを移動したり、取り除いたりしなければ確認申請は必要ありません。また逆に確認申請が必要な場合は主要な柱の位置を移動したり撤去したりして、面積の半分以上をリフォームする場合は確認申請が必要ということです。

減築には原則として確認申請の必要はありません。建築基準法には減築という言葉はなく、工事内容が大規模の修繕や大規模の模様替え、増築、新築、改築、移転などの建築確認を必要とする工事に該当しないかで申請の有無は決まります。

増築、改築で確認申請をする場合は一般的に専門の知識と資格をもった建築士に依頼します。構造計算をしなければなりませんので、自分で手続きをするのはハードルが高いでしょう。

リフォーム目的別の費用相場と注意点

リフォームをするとき、気になるのは費用のことですよね。
目的別の費用相場と注意点を知っておきましょう。

増築するケース

増築にかかる費用は、その増築をした部分をどのような部屋にするかで費用がかわってきます。例えばトイレやお風呂といった水まわりにするために増築をするとなると、設備機器の費用や給水排水などの配管工事もプラスされます。

ただの居室にするのと、水まわりとして増築するのとでは費用に差はありますが、目安として6畳の広さを増築すると200万円~の費用になるでしょう。そこに水まわりが来るのであれば、設備のグレードによって金額の変動はあります。

確認申請が必要な増築になると、書類の作成や申請費用がかかってきますので、15万円~20万円が確認申請費用としてプラスされます。

改築(間取り変更)するケース

間取り変更を伴う改築も増築同様、どのような工事内容にするかで費用の差がでてきます。
例えば間取りを大幅に変更しキッチン、お風呂、トイレ、洗面すべての水まわりの位置を変えたり、新しい設備に入れ替えるとすると700万円~1,000万円が目安でしょう。

設備機器の選ぶグレードにもよりますが、高級なものを選択すると1,500万円以上もかかることもあります。

逆に水まわりリフォームをともなわない間取り変更の場合、例えば子どもが独立したため子ども部屋を収納部屋にしたり、書斎などにする場合ですと100万円~200万円の費用が目安になるでしょう。

このようにリフォームをする場合の費用の目安は、新築時のような坪単価いくらという計算で済ませられないケースが多々ありますので、業者を決める際の見積りにも注意が必要です。相見積りをとってみて、細かく明細が記載されているほうが、きっちりとした見積もりをしているということにもなりますので、金額も大事ですが工事業者を選ぶポイントにもなるでしょう。

減築するケース

減築は使わない部屋を撤去して庭やガレージを広げたい、耐震性能を上げるために使っていない2階を取り除いて平屋にするなど目的によって減築方法や規模が決まるでしょう。

床面積を減らすのですから、主な工事は解体撤去となりますが、外壁や屋根の補修等付随する工事がありますので、費用は300万円~多い時は1,000万円もかかる場合があります。
しかし、減築は建物への負荷を減らすことにも繋がる場合があるため、耐震工事と見なされ補助金や助成金が適応されることもあります。
専門家の耐震診断を受けたうけで相談をしてみると、以外にお得に減築出来る場合があるかもしれません。

同時に行うケースの注意点

「増築と改築」、「増築と減築」を同時に行う場合は費用の負担も増えますが、職人の手間代についてはお得になる場合があります。

分割してなんども工事に通うより、同時に行えるほうが工事の手間が省ける部分や、一度に済ますことができる工程がでてくるのです。

どちらにせよ同時に工事を行うと総額は跳ね上がり、一度に支払う金額は大きくなりますが、増築をした数年後に改築、増築をした数年後に減築と計画しているのであれば、同じタイミングで施工をする方が良いでしょう。

工期は長くなり、住みながらのリフォームが難しくなる場合もあるかもしれませんが、荷物を寄せたり、工事中のストレスなども含めると一度に済ませてしまうほうが効率的ではないでしょうか。